夢の中で作曲したタルティーニ
18世紀イタリアの名バイオリン奏者で作曲家のジュゼッペ・タルティーニが、21歳のときのことです。
徹夜で作曲の仕事に取り組んでいたためか、ある日の夕刻突然すごい睡魔に襲われ、とりあえず寝床に横になったのですが・・・。
タルティーニはまもなく夢の中で不思議な体験をしたのです。
夢の中に悪魔が現われ、その悪魔に愛用しているバイオリンを手渡すと、今度は悪魔が絶妙なソナタを完璧な技法で奏でるというものでした。
夢の中でタルティーニは感嘆の声をあげ、その素晴らしい曲調と演奏に聞き入っていたといいます。
タルティーニはやがて、幻想と甘美と壮麗さに満ちた音の世界から目を覚まします。
そして、今度はみずからが愛用のバイオリンを手にして、あの悪魔の曲を奏でたといいます。
これがタルティーニの代表曲である『悪魔のトリル』の有名な誕生秘話です。
夢の中で聞こえてきた曲は、きっとタルティーニ本人が眠りながら作曲したものでしょう。
しかし、羽毛 ふとんで眠っていた間にみた夢というつかのまの出来事であり、断片的な記憶しか残っていなかったためかもしれません。
・・・タルティーニはこの曲のすべてを五線譜に再現することはできませんでした。